2022年にソウル・梨泰院(イテウォン)で159人が亡くなった雑踏事故をめぐる真相究明と再発防止を目的とする特別調査委員会は、調査申請の期限を3か月延長することを決めました。
委員会は16日、第43回会議を開き、申請期限を来年3月16日まで延ばすと発表しました。当初、調査申請は、調査が始まったことし6月17日から6か月間受け付ける予定でしたが、事故当時の目撃者や救助に関わった人、遺族からの申請が最近まで相次いでいることから、より幅広い意見を聴取する必要があると判断したということです。
委員会は、保健福祉部や行政安全部などの記録をもとに被害者498人を特定して調査を進めていて、委員会を直接訪れて被害申請を行ったケースも50件余りに上っています。
関連法では、事故で死亡した人を「犠牲者」、遺族や救助者、周辺店舗の関係者など、身体的・精神的被害を受けた人を「被害者」と定義しています。
被害者の多くは、深刻なトラウマに加え、事故後に続いた非難など、いわゆる「二次被害」の影響で申請をためらってきましたが、最近になって申請は徐々に増えているということです。
特別調査委員会は、2024年1月に特別法が成立したことで設置の法的根拠が整いましたが、委員の任命や調査の権限をめぐる政治的対立と大統領による拒否権の行使などの影響で発足が遅れました。そのため、公式な活動は李在明(イ・ジェミョン)政権発足後の2025年6月になってようやく始まりました。
遺族と市民団体は、特別調査委員会の発足が遅れた背景として、政治的合意の不足や限定的な調査の権限を指摘し、初動対応の責任や政府の意思決定構造について、徹底した究明を求めています。
梨泰院雑踏事故は、2022年10月、ソウル・梨泰院で開かれたハロウィーンイベントの最中に発生し、159人が亡くなりました。