韓国では、老齢年金を繰り上げて受け取る「早期老齢年金」の受給者が、初めて100万人を超えました。定年と年金の支給開始年齢のずれから、所得を得られなくなるためと見られています。
国民年金公団が9日、明らかにしたところによりますと、ことし7月の時点で早期老齢年金の受給者は100万717人で100万人を突破し、8月には100万5912人に増えました。
受給者が100万人を超えるのは、1988年に国民年金制度が始まって以来、初めてです。
老齢年金は、国民年金の加入期間が10年以上であれば支給開始年齢以降、生涯にわたって毎月受け取ることができます。
現在の支給開始年齢は、1961年から1964年生まれが63歳、1965年から1968年生まれが64歳、1969年以降の生まれが65歳です。
早期受給は最大5年繰り上げることができますが、1年あたり6%減額され、5年繰り上げると受給額は本来の70%になります。
それでも受給者が増えているのは、退職後に収入が途絶える「所得の空白」に耐えられないほど、老後の備えが不十分な人が多いためとみられます。
専門家らは、2023年に国民年金の支給開始年齢が62歳から63歳に引き上げられ、1961年生まれが、60歳で定年となった場合、所得のない空白期間が、さらに1年間延びた経験をしたことから、今回の100万人突破は突発的なことではないとの見方を示しています。
そのうえで、法定の定年60歳と年金の支給開始年齢のずれを解消するとともに、退職後の再就職支援など実効性のある対策が急がれると指摘しています。