首都圏に住む市民の移動手段が、世代によって明確に異なることがわかりました。
ソウル市は、ソウル・京畿道(キョンギド)・仁川(インチョン)に住む市民の実際の移動を250メートル単位で分析した「首都圏生活移動データ」を公開しました。移動目的と交通手段を組み合わせることで、生活圏や通行パターンを詳細に把握したものです。
全体としては、短距離はバス、中距離は地下鉄、長距離は自動車の利用がもっとも多いことがわかりました。
世代による傾向の違いも明らかになりました。
20代から30代の若い世代は地下鉄の利用がもっとも多く、駅周辺を中心とした生活圏や、職場・学校へのアクセスのしやすさが移動手段に表れた結果です。
40代から50代の中年層は自動車の利用がもっとも多い結果になりました。首都圏の外郭部に住む人が多く、地下鉄へのアクセスが十分でない地域が多いことが背景にあります。坡州(パジュ)や金浦(キンポ)など外郭地域からの長距離通勤の影響も見られました。
60歳以上の高齢層は、再び地下鉄の利用が多くなりました。65歳以上を対象とした地下鉄の無料制度が適用されることから、退職後は費用負担の少ない交通手段を選ぶ傾向が表れたものとみられます。
地域による違いも鮮明でした。ソウル中心部は公共交通へのアクセスが良好である一方、首都圏外郭部は交通網が比較的整っておらず、自動車中心の移動が定着していることがわかりました。
ソウル市は「今回の分析を通じて、首都圏の広域交通政策は行政の境界ではなく、実際の生活圏を基準に設計すべきだという点を改めて確認した」としています。ソウル市は、この結果を広域バス路線の調整や駅周辺の再整備、高齢層の医療施設へのアクセス強化など、交通や都市計画全般に活用する方針です。