地域の医療人材不足を解消するための「地域医師制度」を盛り込んだ法案が、国会で可決・成立しました。
「地域医師制度」は、選考で選ばれた医大生に対し、授業料や寮費などを全額支援する代わりに、卒業後10年間、指定地域で義務的に勤務させる仕組みです。
韓国では、医療人材が首都圏に集中し、地方の多くの病院が救急・産婦人科など、必須診療科の維持に苦しんでいることから、政府は、地域医師制度を地域医療の再生の中心的対策と位置づけています。
義務的勤務を履行しない場合は、是正命令が下され、それでも従わなければ免許停止、繰り返されれば免許取消しまで可能とする強い制裁も盛り込まれました。
政府は来年初めに、2027学年度以降の医学部の定員調整案と合わせて、地域医師の選抜規模を最終的に決める方針です。
これに対して、医療界は強く反発しています。
医師協会は、地域医療危機の根本原因は医師数不足ではなく、「地方で暮らしにくい環境」と「未整備の医療インフラ」にあるとし、強制配置方式は実効性が低いと主張しています。
一方、同じ日、国会では非対面診療の法制化も可決され、15年の議論を経てオンライン診療が初めて法的根拠を持つことになりました。
初診は対面診療を原則とし、麻薬類の処方は禁止されます。
また、研修医の連続勤務時間を36時間から24時間に短縮する法案も可決され、研修環境の改善が本格化することになります。