北韓の人権状況に対する国際社会の懸念を盛り込んだ国連決議案が、委員会で採択され、来月の国連総会に提出される見込みです。
国連総会の人権問題を扱う第3委員会は現地時間の19日、アメリカ・ニューヨークの国連本部で会合を開き、北韓の人権状況に深い憂慮を示すとともに改善を促すための決議案を議場の総意により投票なしで採択しました。決議案は来月にも国連総会の本会議に提出され、採択される見通しです。
北韓人権決議案は2005年に初めて採択されて以降、21年連続で毎年扱われています。
ことしの決議案の作成には韓国をはじめ、合わせて61か国が共同提案国として参加しました。
韓国は2008年から2018年まで共同提案国として参加しましたが、文在寅(ムン・ジェイン)政権だった2019年から2021年までは南北関係への影響を踏まえて参加しませんでした。その後、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が発足した2023年に再び参加し、李在明(イ・ジェミョン)政権でも参加が維持されています。
今回の決議案には、2014年の報告書以降の北韓の人権状況の変化を調査した国連人権理事会の包括的報告書を承認し、北韓と加盟国が報告書上の勧告を履行するよう促す内容が新たに盛り込まれました。
また決議案には、恣意的拘禁、拷問、強制送還など北韓での深刻な人権侵害に対する国際社会の懸念を改めて強調するとともに、責任の究明と改善を促す内容が盛り込まれています。
韓国外交部は「北韓住民の人権状況が実質的に改善されるよう、国際社会との協力を引き続き進めていく」と述べました。