韓国海軍が、今月予定されていた日本の海上自衛隊との共同捜索・救助訓練について、実施を見送る意向を日本側に正式に伝えたことを、読売新聞が17日、政府関係者の話として報じました。しかし、韓日双方の外交・安保当局は関係の悪化を避け、事態の沈静化に向けて冷静に対応を進めているとみられます。
共同捜索・救助訓練は、韓国と日本の艦艇が協力して救助活動の流れを確認するもので、1999年から2017年までに10回実施されました。しかし、2018年に韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊の哨戒機に火器管制レーダーを照射したとされる問題をきっかけに、中断されていました。
そのため、訓練再開は、両国の協力強化の象徴として期待されていましたが、今回、再び見送りとなりました。背景には、日本側の対応があります。韓国空軍のアクロバット飛行チーム「ブラックイーグルス」が中東での航空ショーに参加するため、沖縄の航空自衛隊基地で給油を受ける計画でしたが、日本政府は、韓国の一部隊が独島(トクト)上空を飛行したことを問題視し、給油支援を取りやめました。
これを受け、韓国軍は今月中旬に東京で開催された「自衛隊音楽まつり」への音楽隊派遣を見送りました。参加していれば、韓国軍として10年ぶりの出演となる予定でした。
読売新聞は、今回の訓練見送りについて「防衛交流の延期措置」と位置づけたうえで、北韓による核・ミサイル開発の継続や、ロシアと北韓の軍事協力強化など、地域の安全保障環境が悪化する中、韓日両政府は関係悪化を避け、冷静に事態の沈静化を図る姿勢だと指摘しています。
韓国の外交当局は、領土問題をめぐる根本的な意見の隔たりは容易に解消できないと判断しつつも、事態がこれ以上悪化しないよう局面の管理に努めていると伝えられています。今月7日に行われた韓日外務次官級戦略対話後の発表でも、ブラックイーグルスに関する言及は一切盛り込まれませんでした。
また、木原官房長官も14日の会見で、「地域の安全保障環境が一段と厳しさと複雑さを増す中、日韓、日米韓の連携がより一層重要であるという点に変わりはない」と述べ、今後も協力を続けていく考えを示しています。