ソウルの住宅賃貸市場では、保証金だけを預けて住む「チョンセ」から、毎月家賃を支払う「ウォルセ」へと、契約形態の移行が急速に進んでいます。こうしたなか、月額家賃の負担が過去最高水準に達し、世帯所得の4分の1が家賃に充てられていることが分かりました。
国土交通部によりますと、ソウル全域の家賃水準を示す毎月家賃を支払う「ウォルセ統合価格指数」は、ことし9月に101.51となり、統計を取り始めて以来、最も高くなっています。
平均月額家賃は144万ウォンで、前年より18万ウォン上昇しました。これは、4人世帯の中央値所得のおよそ20%から25%にあたる金額です。
チョンセは、一定の金額の保証金を預け、家主は、保証金を運用して収入を得ます。そして、借り手が退出する時には、その補償金が、戻ってくるという仕組みです。
9月にソウルで結ばれた賃貸契約のうち、およそ66%がウォルセ契約で、チョンセ契約は34%にとどまりました。
ウォルセの割合は年々上昇していて、おととしは56.6%、去年は60.1%、そしてことしは60%台半ばにまで達しています。
背景には、チョンセ物件の減少や融資規制の強化があり、新婚世帯や若者を中心に、保証金を用意しづらい人たちがチョンセよりもウォルセを選ばざるを得ない状況にあるとみられています。
専門家は、まずチョンセ物件の数が減ったことで価格が上昇し、その負担を避けるためにウォルセに移る世帯が増加し、結果としてウォルセの需要が高まり、家賃の相場がさらに上がるという悪循環が生じていると分析しています。
また、新築住宅の供給が不足しているうえ、低金利が続くなかでは、高額の保証金を預かっても十分な利息が得られないため、家主が毎月の収入が見込めるウォルセを選ぶ傾向が強まっていると分析しています。
専門家は、「ウォルセへの移行は一時的な現象ではなく、すでに首都圏全体で定着した流れだ」とし、今後さらに金利が下がれば、家賃が一段と上昇につながる可能性があると指摘しています。