アメリカと中国による貿易摩擦の拡大を回避することで両国が合意したことを受け、中国は韓国の造船大手、ハンファオーシャンのアメリカに拠点を置く子会社5社に対する制裁を1年間猶予すると発表しました。
中国商務省は10日、「アメリカが海事・物流・造船業に対する「通商法301条」の調査を1年間停止したことに伴い、これに協力したハンファオーシャンのアメリカ子会社への制裁を同期間、猶予する」と明らかにしました。
1974年成立した「通商法301条」は、外国の不公正な貿易慣行に対して、アメリカが独自に報復措置を講じる権限を定めた法律です。
今回の措置は、先月、釜山(プサン)で行われた米中首脳会談で、両国が貿易摩擦の拡大を控えることで合意したことを踏まえたものです。
中国は先月、ハンファオーシャンのアメリカに拠点を置く子会社が、「通商法301条」に基づくアメリカ通商代表部の調査に協力したとして、これらの企業を取引制限リストに掲載していました。制裁の対象には、フィラデルフィアの「ハンファ・フィリー造船所」など、アメリカに拠点を置く同社の子会社5社が含まれていました。
中国による今回の猶予措置は、米中間で港湾手数料や海運産業をめぐる報復合戦が緩和される兆しとして受け止められています。アメリカはハンファオーシャンへの制裁を「経済的圧力だ」と批判してきましたが、今回の猶予措置をきっかけに、対立が沈静化する可能性が高いとの見方が出ています。
この懸案をめぐっては、今月1日に慶州(キョンジュ)で行われた韓中首脳会談でも議論が行われ、魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長は、「米中間の協議が進展すれば、ハンファオーシャンに対する制裁も前向きな進展が期待される」と述べていました。