尹錫悦(ユン・ソンニョル)前大統領は、7月に再拘束されて以降、出席を拒否してきた「内乱首謀罪」をめぐる裁判に姿を現しました。
尹前大統領は30日の内乱首謀罪の公判に続き、31日にはソウル中央地裁で開かれた職務執行妨害などの罪に関する公判にも相次いで出廷しました。
 
尹前大統領は、去年12月の「非常戒厳」の宣言をめぐって、「内乱首謀罪」で起訴されています。
 
ことし7月に再拘束されて以降、特別検察官による取り調べや裁判への出廷を拒否してきましたが、今月15日、非常戒厳をめぐって、外国からの攻撃を誘う「外患誘致」事件の特別検察による調べに容疑者として応じたほか、9月には「逮捕妨害罪」の初公判に出廷しました。
 
しかし、「内乱首謀罪」をめぐる裁判への出廷は、再拘束から4か月が経ったなか、今回が初めてです。
 
尹前大統領が態度を変えた背景には、出廷を拒否し続けても利益を得られないという、戦略的な判断があったものとみられています。
 
とくに、「内乱首謀罪」をめぐる裁判は、特別法により法廷のすべての発言が生中継されるため、自身に対する世論の悪化を防ぐため、自ら反論に立ったのではないかとの見方が出ています。
 
実際、30日の裁判では、証人として出廷した郭種根(クァク・チョングン)元陸軍特殊戦司令官が、「尹前大統領から『国会議員を引っ張り出せ』という指示を受けた」と証言したのに対し、尹前大統領は「全世界に中継されるのに、特殊部隊が国会本会議場に入って議員を引っ張り出したら、独裁者と言われても仕方がないではないか」と述べ、自身に内乱指示の疑いを向けた証言を正面から反論しました。
 
尹前大統領が、今後の裁判でもこのような積極的な対応を続けるのか注目されています。