韓国とアメリカの関税をめぐる協議で進展がみられたとされるなか、慶州(キョンジュ)で今月31日から始まるAPEC=アジア太平洋経済協力会議の首脳会議をきっかけに双方が大枠で合意に達するのではないかという見方が強まっています。
大統領室の金容範(キム・ヨンボム)政策室長と金正官(キム・ジョングァン)産業通商部長官は22日、再びアメリカに向けて出発しました。
金室長は帰国からわずか3日、金長官も2日ぶりの再訪問となります。
交渉をめぐっては、3500億ドルの全額を「現金」で投資することは難しいという韓国側の立場をアメリカ側が一定程度理解したとされ、今回のAPEC首脳会議を機に「大枠合意文」が示されるのではないかという見方が出ています。
調整が進めば、韓国は3500億ドル規模の対米投資計画を維持し、アメリカは韓国産自動車にかかる関税を現在の25%から15%へ引き下げる案が盛り込まれる見通しです。
また、防衛費拡大と合わせて、使用済み核燃料の再処理やウラン濃縮権限を拡大する内容を含む「韓米原子力協定」改定案が同時に公表される可能性も取り沙汰されています。
2015年に改正された韓米原子力協定では、韓国のウラン濃縮については20%未満と限定され、濃縮を行うにはアメリカの同意を得る必要があります。
また、使用済み核燃料の再処理は禁止されていて、核兵器への転用が不可能な再処理技術の研究のみが認められています。
韓国は、アメリカの承認なしに濃縮·再処理ができる権限を持つ日本と同じ水準の権限確保を目指しています。
ただ、関税交渉が土壇場で妥結に至らなかった場合、安全保障分野の合意だけを切り離して先に公表することは難しいだろうという分析も出ています。
大統領室の関係者は、「8月の韓米首脳会談を機に、原子力協定改定について意味のある進展があった」としながらも、「アメリカ側とさらなる協議が必要なところも残っている」と述べ、慎重な姿勢を示しました。