カンボジアで韓国人を狙った犯罪が急増するなか、韓国政府は、現地の警察に韓国の警察官を常駐させる「コリアンデスク」の設置を推進していましたが、最終的に実現しませんでした。代わりに、両国は犯罪情報を共有し、被害対応を強化するための合同タスクフォースを作ることで一致しました。
警察庁の兪在成(ユ・ジェソン)庁長職務代行は20日、ソウルでカンボジア警察庁の副庁長と会談を行いました。
この会談で両国の警察は、カンボジアで多発している韓国人を狙った犯罪への対応を強化するため、「合同対応タスクフォース」の運用の必要性を確認し、▲24時間ホットラインの運営、▲韓国人を対象とした特殊詐欺の積極的な摘発および合同調査などの具体的な方策について、今週から協議を進めることで一致しました。
ただ、韓国政府が推進していた「コリアンデスク」の設置は白紙となりました。「コリアンデスク」は、現地の警察に派遣された韓国警察官が、韓国人が関わる事件を専門で担当する制度で、2012年にフィリピンで初めて導入され、効果を上げてきました。
しかし、カンボジアでは、捜査権の問題やことばの壁、それに現地の制度的な制約などを理由に協議が決裂したということです。
カンボジアの犯罪拠点で生活する韓国人の数が1000人を超えると推定されるなか、政府がこの問題の解決に向けてカンボジア側の実質的な協力を引き出せるかが注目されています。
専門家は、「コリアンデスク」のような実務的な対応にとどまらず、カンボジア当局の本格的な協力を得るために、外交力を最大限に発揮する必要があると指摘しています。
一方、韓国政府は、カンボジア当局の協力を得て、現地で犯罪に加担して拘束されていた容疑者およそ60人を18日に韓国へ移送しました。
このうち48人については20日に裁判所が逮捕状を発付していて、政府は徹底的な取り調べを通じて、カンボジアの犯罪組織の全容を解明する方針です。