カンボジアで拉致され、拷問を受けて死亡した韓国人大学生、パクさんの遺体について、韓国とカンボジアの警察による司法解剖が行われる予定です。
韓国の警察庁は19日、報道向けの発表で「遺体が安置されているプノンペン市内の寺院で20日、カンボジア当局と合同で司法解剖を行う予定だ」と明らかにしました。合同解剖には、国立科学捜査研究院の法医学者や担当捜査官など、韓国側から7人が参加するということです。
パクさんの遺体は、行政手続きや両国間の協議が難航し、現地検察の許可が下りるまで時間がかかったため、2か月以上にわたって現地に安置されたままとなっています。
パクさんは、7月17日に「博覧会に行く」と家族に告げてカンボジアに出国しましたが、その後連絡が途絶え、およそ3週間後の8月8日、カンポット州ボコール山近くの車内から遺体で発見されました。
捜査当局は、被害者と関わりのあったカンボジア詐欺組織の韓国人関係者が「高収入の仕事がある」として渡航を持ちかけたとみています。
遺体の全身には多数のあざや傷が確認されており、現地警察は、死因を「拷問による心臓まひ」と発表しています。ただ、現地警察の発表だけでは信頼性が不十分だとして、韓国の警察は科学的に死因を確認するため直接司法解剖に参加するとして、19日に現地に向けて出発しました。
解剖終了後、プノンペンの寺院で火葬が行われる見通しで、韓国の警察は、その後、遺骨が韓国へ送還できるように、カンボジア当局と協議するとしています。
カンボジアでは近年、韓国人を含む外国人を狙った誘拐や監禁事件が相次いでおり、韓国警察は他にも同様の被害者がいる可能性が高いとみて捜査を続けています。