カンボジアの特殊詐欺組織に韓国人が多数関与し、監禁などの被害に遭った事件をめぐり、韓国政府は韓国人の救出と送還に向け、現地に合同対応チームを派遣しました。
韓国外交部と警察、法務部、国家情報院などで構成された政府合同対応チームは現地時間の15日夜、カンボジアに到着しました。
チームは、犯罪に関与した疑いで現地当局に拘束されている韓国人63人のうち、すでに2人が15日に帰国したことを確認しました。
残る61人については今後中に全員送還することを目指し、カンボジア当局との協議を進めています。
魏聖洛(ウィ・ソンラク)国家安保室長は、「犯罪現場から彼らを迅速に引き離す必要がある」としたうえで、「帰国後は捜査結果に基づき、犯罪への関与の程度に応じた司法手続きを取る」と明らかにしました。
現在、カンボジアで犯罪に加担したか、犯罪組織に拘束されているとみられる韓国人は、およそ1000人に上るとされています。現地では被害者と加害者が入り混じる複雑な状況となっており、政府は韓国人を標的にした特殊詐欺犯罪産業そのものを根絶する方針です。
今回の対応は、カンボジア南西部のボコ山地域で拷問を受け死亡した大学生の事件をきっかけに、韓国での世論が高まったことで本格化しました。韓国とカンボジア政府は、遺体の解剖や搬送とともに、捜査に向けた協力体制の構築についても協議しています。
外交部によりますと、8月時点で身元が確認できないか連絡が取れない韓国人はおよそ80人で、これは逮捕された63人とは別の行方不明者の数だということです。
政府は彼らの捜索に向け、カンボジア警察20人と韓国警察4人による合同捜査チームを立ち上げる予定で、現地に「コリアン・デスク」を設置し、被害の受け付けと支援を行う方針です。
また、政府は今回の事件を受け、カンボジアの犯罪多発地域について、旅行警報を最高レベルの「旅行禁止」に引き上げました。
魏室長はさらに、「カンボジアの特殊詐欺組織にはおよそ20万人の外国人が関与しており、そのうち韓国人はおよそ1000人に上るとみられる」としたうえで、「高収入をうたう求人を信じて、自らカンボジアに渡るケースもある」として、予防に向けた広報活動と厳罰の必要性を強調しました。