カンボジアなど東南アジアの複数の国で、外国人が監禁され強制労働を強いられる「特殊詐欺拠点」の実態について、国連がすでに韓国など各国に対し、被害者保護と再発防止のための緊急対応を求めていたことがわかりました。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は今年5月、カンボジアやミャンマー、ラオスなどの状況を「人道的危機レベル」と位置づけ、韓国や日本を含む各国に緊急対応を求めたと発表しました。
国連の特別報告者によりますと、被害者の多くは詐欺拠点の施設で自由を奪われ、暴行や電気拷問、性的暴力など非人道的な扱いを受けています。食料や飲料水さえ十分に与えられず、一部の組織は被害者を他の組織に転売したり、家族に身代金を要求したりしているということです。
特殊詐欺拠点は、オンライン詐欺や違法賭博を行う犯罪組織が作った巨大な閉鎖区域で、SNSで高収入の仕事を装った求人広告を信じて渡航した外国人が監禁されるケースが多発しています。
被害者の中には韓国人のほか、日本人、台湾人、フィリピン人など東アジアの若者も含まれています。
国連は、各国の取り締まりにもかかわらず、こうした犯罪拠点が場所を変えながら活動を続けており、現地の腐敗した行政と結託して摘発を逃れていると指摘しています。
国連は、韓国や日本をはじめとする東アジア諸国が、被害者の保護と再発防止のために連携を強化すべきだとし、政府だけでなくSNS運営企業や金融機関も人身取引・オンライン詐欺の根絶に積極的に取り組むよう求めました。