韓国政府は、南北の軍事境界線を挟む非武装地帯(DMZ)での韓国戦争の戦死者の遺骨発掘を、3年ぶりに再開しました。
国防部は15日、南北間の軍事的緊張を緩和する措置の一環として、2022年に中断されていた江原道(カンウォンド)鉄原(チョロン)郡の白馬(ペンマ)高地一帯での遺骨発掘を再開したと明らかにしました。
白馬高地は1952年秋、韓国戦争の際に南北が12回にわたって攻防を繰り広げた激戦地で、戦争を象徴する戦闘地の1つとされ、現在は非武装地帯の南側の地域に位置します。
遺骨の発掘は2021年秋に始まりましたが、2022年末に南北間の軍事的な緊張が高まったことを受けて中断されました。
今回の再開は、李在明(イ・ジェミョン)政権が緊張緩和と軍事的信頼の回復を目的に進めている「9.19軍事合意」の段階的な復元の一環とみられています。
2018年9月19日の南北首脳会談で採択された「9.19軍事合意」は、韓北の緊張緩和に向けて、双方の軍当局が軍事境界線付近でのすべての敵対行為を禁じることや、非武装地帯(DMZ)を平和の地にすること、韓半島西の海、西海(ソヘ)の平和などを柱としています。
また、合意には、非武装地帯での共同遺骨発掘を進めることも盛り込まれましたが、北韓側が参加せず、韓国側が単独で行ってきました。
韓国軍はこれまでの発掘事業で数百体の遺骨を収拾していて、今回は当時収拾できなかったおよそ50体を中心に、11月末まで作業を続ける計画です。
非武装地帯は、1953年の休戦協定によって設けられた南北の緩衝地帯で、軍事境界線を中心に南北それぞれ2キロずつ、計4キロの幅で設定され、民間人の立ち入りが制限されています。