韓国の統一部は、去年解散した「開城(ケソン)工業団地支援財団」を復活し、あわせて「南北協力基金」を国内の民間交流事業にも使えるよう制度を見直す方針を明らかにしました。将来的な開城工業団地の再稼働を見据え、行政的な基盤を整える狙いがあるとみられます。
14日に開かれた国会外交統一委員会の国政監査で、統一部は「開城工業団地支援財団の復活手続きを検討している」と報告しました。
開城工業団地は、南北歩み寄りの象徴として北韓・開城市のおよそ330万平方メートルに韓国企業123社が工場を建設し、2004年末から操業していましたが、南北関係の悪化により2016年2月に閉鎖されています。
この工業団地を支援していた財団は去年3月に解散され、現在は清算手続きが進められています。
ただ、北韓による核やミサイルの挑発が続く中で、開城工業団地の再開の見通しは立っておらず、当面は財団の役割も限定的になるとみられています。
統一部はまた、南北協力事業の資金を確保・運用するために設けた「南北協力基金」について、使用範囲を広げ、国内での民間交流の基盤づくりにも活用できるよう法改正を進めています。これまで南北協力事業に限って使われてきましたが、今後は国内の民間活動にも支援を拡大する方針です。
国政監査に出席した鄭東泳(チョン・ドンヨン)統一部長官は、「政府は平和の原則を一貫して実践していく」と述べ、李在明(イ・ジェミョン)大統領が国連総会で提唱した、韓半島の冷戦構造を終結させるための新たな構想「E.N.Dイニシアチブ」を対北韓政策の柱に据える考えを示しました。
「E.N.D」とは、交流(Exchange)、関係正常化(Normalization)、非核化(Denuclearization)の頭文字を取ったもので、鄭長官は「E.N.Dを通じて、敵対の時代を終わらせ、平和共存の新たな章を開く」と強調しました。