韓国国会では13日、李在明(イ・ジェミョン)政権の発足後、初めてとなる国政監査が始まりました。
国政監査は、国会が毎年、政府や公共機関の政策執行を点検し、問題点をただす制度です。今回は新政権発足からおよそ4か月で行われ、来月6日までのあいだ、17の常任委員会が834機関を対象に監査を実施します。来年6月の地方選挙を前に、与野党の主導権争いが一段と激しくなる見通しです。
初日の13日は、国会の法制司法委員会で、日本の最高裁判所長官にあたる趙喜大(チョ・ヒデ)大法院長をめぐり、与野党の対立が先鋭化しました。
与党「共に民主党」は、李大統領が大統領選挙の候補だったことし5月、公職選挙法違反に問われた裁判で、大法院が異例の速さで審理を進め、無罪とした二審判決を破棄し、有罪の趣旨で高等裁判所に差し戻したことは「選挙への介入だ」と批判し、趙大法院長に説明を求めました。
法制司法委員会の委員長を務める与党「共に民主党」の秋美愛(チュ・ミエ)議員は、「職権乱用の疑いを免れない」と追及しましたが、趙大法院長は「裁判の内容について答えることは司法の独立を損なう」として回答を拒否し、退席しようとしました。
法制司法委員会はこれまで、大法院の国政監査の際、大法院長の話を聞き、慣例に従って離席を認めてきました。
しかし秋委員長が退席を認めず質疑を続けたため、野党「国民の力」の議員らが「大法院長を監禁している」「答弁を強要している」と反発し、委員会は一時、騒然となりました。
このほか委員会では、現代自動車などがアメリカ南部ジョージア州で建設を進める工場で、韓国人労働者が一時拘束された問題や、韓米間の関税協議の遅れも主要な争点となっています。
これに先立って、李在明大統領は、「与野党を問わず、国政監査に誠実に協力し、国会の指摘には積極的に対応するように」と、全ての官庁に指示しました。