韓国政府の電算システムを管理する国家情報資源管理院で26日、火災が発生し、主要装備が焼失しました。この影響で行政のオンラインサービスや自治体の住民センターでの一部の窓口業務が停止し、国民生活に大きな混乱が生じています。
これまで、国家機関による小規模なシステム障害や一部地域のトラブルはありましたが、火災によって中枢サーバーが全焼し、全国の行政サービスに影響が出たのは今回が初めてです。
韓国行政安全部によりますと、中部の大田(テジョン)にある国家情報資源管理院で26日、作業員13人が無停電電源装置(UPS)バッテリーとサーバーの分離作業を行っていたところ、バッテリーから出火したということです。このバッテリーは2014年に納品されたリチウム製のもので、使用推奨期間を1年あまり過ぎていました。
UPSバッテリーは、停電の際に電力を供給するため、データセンターに欠かせない装置ですが、素材がリチウムの場合は、過熱すると火災につながる恐れがあります。
今回の火災で、647のサービスが停止しました。このうち復旧したのは、29日正午現在、モバイル身分証や郵便局の金融サービスなど62件で、復旧率は9.5%にとどまっています。
韓国政府は、国民の安全と経済活動に直結するサービスを優先的に復旧していますが、全焼した装備も多いことから、完全復旧には少なくとも4週間以上かかる見通しです。
今回の火災により、国民は各種の行政手続きや証明書をデジタルで発給できず、地方自治体の住民センターを直接訪れるなど、不便を強いられています。
例えば、消費の活性化を目的とした「消費クーポン」のオンラインによる異議申し立てができなくなったため、住民センターを訪問する必要があるほか、火葬施設の予約サイトへのアクセスも制限されているため、各火葬場に個別に申請しなければならないということです。
今回の火災では、国の電算ネットワークの管理体制が整っていなかったことや、事故に備えたバックアップシステムが構築されていなかったことで、被害が拡大したとの指摘が出ています。
李在明(イ・ジェミョン)大統領は「国民に不便をおかけして申し訳ない」としたうえで、「早急な復旧と再発防止に総力を尽くす」と謝罪しました。