北韓が関与しているとされるハッカー集団が、生成AIを使って韓国軍の職員証を偽造し、韓国軍の関係機関にサイバー攻撃を行ったことが初めて確認されました。
 
韓国のセキュリティ企業「ジニアンス」の報告書によりますと、北韓の偵察総局傘下にあるとされるハッカー集団「キムスキー」は、ことし7月、韓国軍職員証の新しいデザイン案の確認を装ったメールを送り、悪性ファイルを添付するスピアフィッシング攻撃を行いました。「スピアフィッシング」とは、特定の個人や組織を標的にして仕かけるサイバー攻撃です。
 
添付されていた画像は、実在の軍人の職員証と酷似したディープフェイクで、送信元のメールアドレスも、韓国軍関係機関の公式ドメイン「.mil.kr」に似せて偽装されていたということです。韓国では、公的な身分証の偽造や類似したコピーを作ること自体が法律で禁じられています。 
 
専門家は、AIがサイバー攻撃の手口に本格的に悪用された初の事例だと指摘しています。特に、軍や公共機関を狙う高度な攻撃は国家安全保障に深刻な影響を及ぼしかねないとして、AI時代に対応した新たなセキュリティ体制の構築が急務だと警告しています。