韓国でコメの価格が上昇を続けるなか、消費者の「心理的抵抗線」とされる20キロあたり平均6万ウォンを超えたことを受け、政府は、加工用に米を供給することを決めました。
現在、店頭に並ぶコメの平均価格は、20キロあたり平均6万ウォンとなっていて、前の年に比べておよそ18%、平年より14%高くなっています。飲食店などにコメを卸している卸売業者は、「コメの確保が難しい」と訴えています。
コメの価格が消費者の「心理的抵抗線」とされる20キロあたり平均6万ウォンを超えたことを受け、韓国の農林畜産食品部は対応に乗り出しました。
韓国政府は、加工米事業者に対し、加工用米5万トンを追加で供給する方針を決めました。
加工米事業者は中小企業がその多くを占めていますが、コメの価格が上昇していることで、価格の高騰に対応できず、在庫の確保と輸出への影響が懸念されていました。
そこで、農林畜産食品部は、コメの安定供給と価格の安定を図るために、現在20キロあたり3000ウォンの割引価格を4000ウォンから5000ウォンに引き上げる方針を検討しています。
農林畜産食品部は、備蓄米の貸し出しと割引で価格高騰に対応するとしていますが、一部からは、去年、市場に出回るコメの量が増える収穫期に価格が下がることを防ぐため、26万2000トンを市場から引き揚げたことが、今回のコメ不足につながったとの指摘も出ています。
専門家らは、新米の出荷に先立ち、集荷業者や卸売業者の間で加工用となる米を確保するための競争が激化していることが、価格の上昇を招いていると分析しています。
新米の価格は古米より高いことから、新米の出荷が始まったあとも、しばらくコメ価格の高騰は続くとみられます。