アメリカ政府による関税政策により、50%の高い関税が課されることになった韓国の鉄鋼産業を後押しするため、与野党の国会議員が共同で特別法を発議しました。
今回、アメリカとの関税交渉が妥結したことを受け、韓国からアメリカへの輸入品には15%の相互関税が適用される一方、鉄鋼製品に対しては、6月から導入された50%の関税がそのまま維持されるようになりました。
韓国貿易協会によりますと、韓国は去年の時点で、鉄鋼輸出額332億9000万ドルのうち、およそ13%がアメリカ向けで、韓国にとってアメリカは最大の輸出先となっています。
このような状況を受け、与野党の国会議員106人は4日、鉄鋼産業の保護を柱とする「K‐スチール法」を共同で発議しました。
大統領直属の「鉄鋼産業の競争力強化に向けた特別委員会」を設置し、5か年計画と年間の実行計画を立て、財政や税制支援をはじめとする競争力強化のロードマップを設けることを目指します。
与野党の国会議員は、「党派の垣根を超えた超党派の対応だ」と強調したうえで、22代目となる今国会における初の超党派の協力であることをアピールしました。
一方、韓国の鉄鋼メーカーは、高い関税を避けるため、アメリカに生産拠点を設ける動きをみせています。
鉄鋼業界2位の現代(ヒョンデ)製鉄は、アメリカ・ルイジアナ州におよそ58億ドルを投じて、製鉄所を建設しています。この製鉄所には、鉄鋼最大手のポスコ(POSCO)も投資する意向を示しています。