アメリカが来月1日から韓国に対して25%の相互関税を発動する方針を示すなか、韓国政府は、関税の引き下げと引き換えに、長年低迷しているアメリカの造船産業を対象とした数百億ドル規模の協力プロジェクトを提案したことがわかりました。
複数の政府関係者によりますと、韓国の金正官(キム・ジョングァン)産業通商資源部長官は、今月25日にニューヨークで行われた関税交渉の場で、アメリカのラトニック商務長官に対し、造船分野での協力案を提示し、アメリカ側も前向きな反応を示したということです。
この協力案は、「MASGA=アメリカの造船を再び偉大に(Make American Shipbuilding Great Again)」と名づけられ、韓国の民間造船企業によるアメリカ国内への大規模な設備投資と、韓国政府主導の公的金融支援を組み合わせた内容となっています。
具体的には、LNG運搬船や超大型コンテナ船の建造で世界をリードする韓国の技術力と資本を活用し、アメリカの造船産業の再建を後押しするもので、協力の見返りとして、韓国への関税の緩和を図る狙いがあるものとみられます。
韓国輸出入銀行や貿易保険公社などの政府系金融機関もこのプロジェクトに参加する方向で検討されていて、韓国政府は、アメリカ側に数百億ドル規模の具体的な投資額を提示したとされています。
関税交渉をめぐっては、日本やEU=ヨーロッパ連合も、保証や融資を中心とする数千億ドル規模の投資パッケージを提示し、関税の引き下げを実現しています。
これに対して韓国は、アメリカ現地での生産設備の建設を軸とした「実質的な投資」を前面に押し出し、他国との差別化を図ろうとしています。