韓国政府は、海外から輸入される安価な鉄鋼製品が国内の鉄鋼産業に及ぼしている影響を把握するため、中国と日本から輸入される熱延鋼板に対し、アンチダンピング調査を実施します。
韓国産業通商資源部の貿易委員会は28日、「日本と中国の熱延鋼板などに対し、ダンピングの実態や国内産業への被害調査を行う」と発表しました。
貿易委員会は、来月4日に官報で公告し、本格的な調査を開始する方針です。アンチダンピング調査は、予備調査の後に本調査が行われ、ことしの6月にも予備判定の結果が出る見通しです。
熱延鋼板は、鉄鋼を高温で加熱し、薄くおしのばす圧延工程を経て製造される鋼板で、自動車の車体フレームや造船・海洋船舶の外板や内部構造物、建設・建築用の鉄筋や機械装備など、あらゆる産業分野で使われています。
韓国鉄鋼協会によりますと、去年1月から11月の熱延鋼板の輸入量約343万トンのうち、中国製が153万トン、日本製が177万トンと、合わせて輸入量全体の96.2%を占めています。
業界では、これらの熱延鋼板が、韓国製より最大およそ30%安い価格で流通しているとみています。
鉄鋼製品の生産量が世界一の中国では、鉄鋼の国内需要が低迷していますが、鉄鋼の過剰供給を続けていることから、中国で余った鋼材が安い価格で韓国をはじめとするアジアやヨーロッパなどへの輸出に振り向けられ、国際市場を撹乱(かくらん)しています。
このような状況を受け、韓国の鉄鋼業界は、去年7月、中国製の厚板に対し、ダンピングで提訴し、去年12月には、中国と日本から輸入される熱延鋼板に対してもアンチダンピング調査を求めています。