旧日本軍の慰安婦被害者らが、この問題を扱った本「帝国の慰安婦」で名誉を傷つけられたとして著者の朴裕河(パク・ユハ)世宗(セジョン)大学名誉教授に損害賠償を求めた民事訴訟の控訴審で、ソウル高等裁判所は22日、「著書の表現は学問的記述だ」として原告の訴えを退けました。
1審では慰安婦被害者側の訴えが認められ、朴氏に対し、一人当たり1000万ウォン、合わせて9000万ウォンを支払うよう命じていましたが、控訴審では朴氏が逆転勝訴しました。
朴氏は2013年に出版した著書「帝国の慰安婦」で、慰安婦被害者を「精神的慰安者」や「軍人の戦争遂行を助けた愛国娘」、「自発的な売春」などと表現し、この表現が名誉毀損に当たるとして、被害者側が2014年に提訴していました。
控訴審の判決で、原告が問題視した慰安婦についての表現は「学問的記述」だとし、「原告らが感情的な影響を受けたとしても、学問の自由を保障する憲法の価値に照らして人格権を侵害したとはみなし難い」と判断しました。また、「朴氏の見解が多くの支持を得られないとしても、それは学界や社会での議論を通じて検証されるべきだ」と指摘しました。
なお、この問題に関連する名誉毀損罪の刑事裁判では、最高裁にあたる大法院が審理のやり直しを命じた裁判で朴氏は去年4月に無罪が確定しています。