アメリカのトランプ次期大統領が、ほとんどの外国製品への関税を一律に引き上げる「普遍的基本関税」を提唱し、保護貿易を強化する政策を打ち出すなか、韓国の鉄鋼メーカー、現代(ヒョンデ)製鉄がアメリカに大規模な製鉄所を建設することを検討していることが分かりました。
業界関係者によりますと、現代製鉄は自動車用鋼板をアメリカ国内で生産するための製鉄所建設を検討しており、この製鉄所は現地で自動車を生産する現代自動車グループに鋼板を直接供給する目的で計画されているとみられます。
トランプ次期大統領は、対米輸出企業にアメリカでの生産を求める圧力を強める姿勢を示しており、現代自動車グループのこうした動きは、アメリカ市場での事業安定化を図る対応策とみられています。
これに先立ち、現代製鉄の徐康賢(ソ・ガンヒョン)社長は去年3月の株主総会で、「グローバル保護貿易主義に対応するため、現地生産拠点の設立を検討している」と述べ、「どの地域に投資して貿易障壁を克服できるかを詳しく検討したい」と語っていました。
もしアメリカ現地での製鉄所建設が決まれば、現代製鉄としては海外で建設する初の製鉄所となり、投資額は数兆ウォン規模に上ると予想されます。
これについて現代製鉄は、「持続可能な成長とグローバル競争力確保のために多様な案を検討しているが、現時点で決定した事項はない」としています。
現代製鉄は年間2000万トンの粗鋼を生産しており、そのうち自動車用鋼板は500万トンに達します。この鋼板のおよそ80%は、系列会社である現代自動車と起亜(キア)自動車に供給されています。