「非常戒厳」の捜査を進めている検察が、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と李祥敏(イ・サンミン)前行政安全部長官の「内乱容疑」をめぐる事件を「高位公職者犯罪捜査処」に引き継ぐことを決めました。複数の捜査機関が捜査の主導権をめぐって競い合う事態となっていて、捜査の重複になるのではという声が高まっていることを受け、検察と高位公職者犯罪捜査処が捜査の一本化に合意したものです。
検察庁と高位公職者犯罪捜査処は18日、捜査の重複をさけるための協議を行い、高位公職者犯罪捜査処が尹大統領と李前長官の事件を検察から引き継ぐことを決めました。その代わり、金龍顕(キム・ヨンヒョン)前国防部長官など、その他の「非常戒厳」をめぐる捜査は、引き続き検察が捜査する方針です。
「非常戒厳」宣言後、検察と警察、高位公職者犯罪捜査処などが複数の告発状を受理して捜査を開始していて、それぞれ尹大統領に出頭を求めていることから、捜査の混乱につながるとの懸念の声が高まっていました。
高位公職者犯罪捜査処法に基づき、捜査内容が重複する事件では、高位公職者犯罪捜査処が他の捜査機関に重複する部分を引き継ぐことを求めた場合、その捜査機関は要請に従わなければなりません。
警察は16日、尹大統領や金前国防部長官など、「非常戒厳」の関係者とされる軍首脳部を巡る事件を高位公職者犯罪捜査処に引き継ぎました。
これに対し、検察は、独自の捜査を進めていましたが、捜査の重複を懸念する声が高まっていることを意識し、対応に乗り出したものとみられます。
ただし、高位公職者犯罪捜査処は大統領を起訴する権限がないため、処分をめぐる最終的な判断は検察に委ねられることになります。