いまの政権が進める中心的な教育改革政策のひとつで、来年からの導入が予定されている「AI=人工知能教科書」をめぐり、国会でこれに反対する教育法の改正案が野党単独で可決されました。
国会の教育委員会は28日、AIデジタル教科書を教科用図書ではなく、教育資料と定める小学・中等教育法の改正案を野党単独で可決しました。
与党の「国民の力」の議員は会議に出席しませんでした。
韓国の教育部は来年からの教育現場へのデジタル教科書の導入を進めていて、「国民の力」は政策を安定的に進めるためにも、生徒のレベルに合った学習ができるAIデジタル教科書を教科書と認めるべきだとして、今回の改正案に反対してきました。
AIデジタル教科書が教科書に定められれば、学校での使用が義務付けられますが、教育資料として定められた場合、校長の裁量しだいで使用するかどうかが決まるため、デジタル教科書の普及が遅れると、「国民の力」は主張してきました。
一方、最大野党の「共に民主党」は、AIデジタル教科書は配布に膨大な予算がかかるほか、児童・生徒の個人情報の流出や文章読解力の低下などが懸念されるとして、教育資料とする改正案の成立を進めてきました。
改正案は、本会議でも野党単独で可決される見通しです。
ただ、大統領が拒否権を行使すれば、AIデジタル教科書は、教科書として使われそうです。
一方、教育部は29日、AIデジタル教科書の検定に合格した76種の図書リストを官報に掲載しました。
AIデジタル教科書は2025年度の新学期から学校で使われることになります。
対象となるのは、小学校3,4年、中学校1年、高校1年で、科目は数学、英語、情報の3つです。