忠清南道(チュンチョンナムド)天安(チョナン)市にある、独立運動の歴史を保存・展示する「独立記念館」の新任館長の歴史観をめぐって論争が広がっているなか、独立記念館は、毎年8月15日の独立記念日「光復節」に行ってきた記念式典を突然、中止することを12日、明らかにしました。
独立記念館の記念式典が開かれないのは、1987年の開館以来、初めてのことです。
中止の理由について、独立記念館は、「新任の館長が政府が主催する記念式典に参加するため、館長のいない状況で記念式典を開催することは難しいと判断した」と説明しています。
新任館長の金亨錫(キム・ヒョンソク)氏(68)をめぐっては、植民地時代の1919年に成立した大韓民国臨時政府を正当に評価せず、日本の植民統治を「合法」と見なし、むしろ植民地時代に韓国の近代化が進んだと主張する「ニューライト(新保守)」の思想の持ち主だとする主張が、独立運動家やその子孫、遺族などでつくる団体「光復会」を中心に出ています。
また「光復会」と最大野党「共に民主党」、野党「祖国革新党」は、政府が金館長の任命を撤回しなければ、政府主催の光復節記念式典には参加しないという意向を示しています。
このため、独立記念館が記念式典を中止したのも、金館長の任命に対する批判を意識したものではないかとみられています。
金館長は12日に行った記者会見で、辞任する意向はないとしたうえで、自身をめぐる「ニューライト」疑惑について反論したほか、「光復会」に対し法的措置をとる方針だとしています。
一方、歴史学会、韓国近現代史学会、韓国歴史研究会など48の歴史関連団体は、13日、声明を発表し、金亨錫館長は、日本による植民地支配と親日派を擁護する「偏った思考を見せている」として、任命の撤回を求めました。