世界文化遺産への登録が決まった「佐渡島の金山」をめぐり、新潟県佐渡市が運営する相川郷土博物館で、戦時中に朝鮮人が過酷な労働環境で働いたことを説明する展示が始まりましたが、展示に「強制」の文言は使われていないことがわかりました。
新たな世界遺産を決めるユネスコ=国連教育科学文化機関の世界遺産委員会の会議が27日、インドの首都ニューデリーで行われ、「佐渡島の金山」に対する審議の結果、全会一致で世界文化遺産への登録が決まりました。
「佐渡島の金山」をめぐっては、韓国政府が「韓半島出身の労働者が強制的に働かされた場所だ」として反発し、韓日両政府が話し合いを続けてきた経緯がありますが、韓半島出身労働者に関する歴史を含む「全体の歴史」を反映する措置として、現地から近い地元の展示施設「相川郷土博物館」で戦時中の労働環境を説明するとともに、毎年7~8月に「佐渡島の金山」で働いた労働者の追悼式を行うと日本政府が表明したことで、韓国もユネスコ委員国として登録に同意しました。
そして、「相川郷土博物館」では28日、韓半島出身者を含む鉱山労働者に関する展示が始まりましたが、「当時、韓半島出身者を含む労働者が過酷な環境で働いた」という説明はあるものの、展示に「強制」の文言は入っていないことが韓国メディアの取材でわかりました。
韓国のメディアはまた、戦時中の労働環境を説明する展示を、多くの観光客が訪れる「佐渡島の金山」のガイダンス施設「きらりうむ佐渡」ではなく、現地から2キロ離れた郷土博物館で行っていることについても問題視しています。
韓国政界の反応は分かれていて、保守系与党の「国民の力」は27日、「強制動員を含む全体の歴史を反映する実質的な措置が行われた」ことを評価しましたが、革新系の最大野党「共に民主党」は、「日本側が強制動員を最後まで認めていない」として、「尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権の外交惨事」などと厳しく批判しました。
一方、趙兌烈(チョ・テヨル)外交部長官は27日、「佐渡島の金山」が世界文化遺産に登録されたことについて、「日本が現場に設置した展示物はもちろん、追悼式など関連する後続措置の履行においても、韓国政府と緊密に意思疎通をはかりながら誠意ある姿勢を示すことを期待する」と述べました。