韓国南東部の蔚山(ウルサン)で2018年に行われた市長選挙に、当時の文在寅(ムン・ジェイン)政権が介入した疑いについて捜査している検察は、7日、歴代の大統領に関する記録を保管している施設を家宅捜索しました。捜査の対象となっている文政権の高官は、「総選挙を前にした政治報復だ」と反発しています。
2018年6月の蔚山市長選では、当時の市長で保守系の金起炫(キム・ギヒョン)氏と、文大統領に近い革新系の宋哲鎬(ソン・チョルホ)氏が戦い、宋氏が当選しました。
しかし、その後、宋氏を当選させるために、大統領府が組織的な介入を行った疑いが浮上し、検察は大統領秘書官室の家宅捜索を試みましたが、大統領府がこれを拒否し、実現しませんでした。
このため、検察は、選挙への介入に関わったとされる当時の任鍾晳(イム・ジョンソク)秘書室長と曺国(チョ・グク)民情首席秘書官を、証拠不十分で不起訴としました。
与党「国民の力」の前身である「自由韓国党」は、ソウル高等検察庁に対し、任氏らに対する再捜査を要求し、ソウル高等検察庁はことし1月、ソウル中央地方検察庁に再捜査を指示しました。
ソウル中央地方検察庁は7日、世宗(セジョン)市にある大統領記録館を家宅捜索し、関連資料を押収しました。
今回、捜査の対象となっている、曺国氏は、文政権で首席秘書官に抜擢されたあと、法務部長官に就任しましたが、当時、検察総長だった尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が率いる検察チームが、曺氏が娘の不正入学に関与した疑いについて捜査を進めるなか、長官の職を辞任しました。
曺氏は、来月の総選挙に向けて今月初めに新党を立ち上げていて、立党大会では、「尹錫悦・検察独裁政権を早期に終息させる」と強調しています。
曺氏とともに捜査を受けている任氏は、「総選挙を前に再捜査に踏み切ったのは、明らかな政治報復だ」として、強く反発しています。