徴用問題に関する損害賠償裁判で勝訴した原告側が、被告の日立造船が裁判所に預けている供託金を賠償金として受け取るために申し立てていた差し押さえ請求を、裁判所が認めました。
今後の法的手続きを経て、原告が供託金を受け取ることになれば、徴用損害賠償裁判で勝訴した被害者側が日本企業の資金を受け取る初めての事例となります。
ソウル中央地方裁判所は23日、日立造船による徴用の被害者が提出した差し押さえ請求を認めました。
先月28日に最高裁にあたる韓国の大法院で5000万ウォンの賠償金と遅延利息の支払いを受ける判決が確定した原告側は、今月10日にソウル中央地裁に、日立造船の供託金を差し押さえる申請を行いました。
日立造船は、2019年1月にソウル高等裁判所で行われた2審で敗訴したあと、韓国国内に保有する資産の差し押さえなどの強制執行の停止を申し立て、その担保として6000万ウォンを供託しました。
これは、徴用問題に関連して日本企業が韓国の裁判所に金銭を供託した唯一の事例とされています。
今回、地裁が供託金の差し押さえを認めましたが、実際の払い出しには、供託金を担保として預かることを決めた高裁が、担保の取消しを決定する必要があります。
法的手続きにかかる時間を考慮すると、高裁の判断には、最大3か月程度かかる見通しです。
被告側の代理人を務める弁護士は、「供託金で足りない金額は、政府が提示した解決案に従って、政府系の財団からの支払いを受けることを前向きに検討する」と述べました。
NHKは、ソウル中央地裁の今回の決定について、日立造船が「事実関係の確認ができていないのでコメントできることはない」という反応を示したと伝えています。
日立造船は、先月28日に大法院で敗訴が確定した後、1965年の韓日請求権協定と、これに対する日本政府の見解、そして会社の主張に反していて、極めて遺憾だとする立場を明らかにしました。
日本政府も、東京の韓国大使館の政務公使を呼び出し、韓日請求権協定に明確に反する判決であり、絶対に受け入れられないとの意向を伝えました。