韓国で2011年まで販売されていた加湿器用の殺菌剤を使用した人のなかから多くの死傷者が出た問題で、最高裁にあたる韓国の大法院は、因果関係が薄いと判定された被害者に対して、製造会社と販売会社が賠償金を支払うよう命じた2審の判決を確定しました。
この加湿器用殺菌剤は、イギリスに本社を置く多国籍企業「レキット・ベンキーザー」の韓国法人が、2001年から2011年半ばまでのおよそ10年間にわたって販売したもので、製品に含まれていた有害な化学物質によって、おととし1月の時点で、1740人が亡くなり、およそ6000人に健康被害が出ています。
この殺菌剤との関係性が比較的薄いと判定された被害者の1人が、製造会社と販売会社に対して損害賠償を求めて起こした裁判で、高等裁判所は500万ウォンの賠償金を支払うよう命じていて、大法院は9日、この2審判決を確定しました。
この加湿器用殺菌剤をめぐっては、多くの被害者が出たことから、疾病管理本部は、殺菌剤が被害の原因であることが確実とされる「第1等級」から、可能性がほとんどないとされる「第4等級」まで4段階に分け、「第1等級」と「第2等級」の被害者は、政府の支援金支払いの対象としています。
原告は、2007年11月から2011年4月まで毎年6か月ほど、この殺菌剤を使い続けたため、肺への損傷を受けたと主張しましたが、2014年3月に、症状と殺菌剤との因果関係が薄いとされる「第3等級」の判定を受け、政府の支援の対象外となったため、製造会社と販売会社を相手取って2000万ウォンの賠償を求める裁判を起こしました。
1審では原告の請求が受け入れられませんでしたが、2審では、加湿器用殺菌剤に含まれる有害物質によって原告が被害を受けたとして、被告に500万ウォンの支払いを命じました。
原告と被告のいずれも、判決を不服として上告しましたが、大法院は上告を退け、2審の判決が確定しました。
今回の大法院の決定により、今後、この殺菌剤との関係性が薄いと認定され、政府の支援金の対象から外れていた被害者にも救済の道が開かれそうです。