高いインフレ圧力と外貨の流出が韓国経済の懸念材料となっているなか、韓米の財務長官が、外国為替市場の安定に向けた方策について話し合いました。
通貨危機などの際にアメリカとの間でウォンとドルを互いに融通しあう「通貨スワップ協定」に関する言及はありませんでしたが、必要に応じて外貨流動性の供給を含めた協力も可能であることを確認しました。
秋慶鎬(チュ・ギョンホ)経済副総理兼企画財政部長官は19日、ソウル市内で開かれたアメリカのイエレン財務長官との会談直後に、「韓米両国は、必要に応じて外貨の流動性を供給するための措置など、様々な協力策を実行できる余地があることを確認した」と明らかにしました。
そのうえで、「外貨の流出問題に対しても、前もって適切に協力することで一致した」と強調しました。
また、イエレン長官が、アメリカが主導するロシア産原油価格に上限を設定する制裁への韓国の参加を促したのに対し、秋副総理は参加意思を明らかにしました。
これを前に、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は19日、ソウル市内の大統領室でイエレン長官と面談し、「両国の首脳による合意の趣旨に従って、経済安保同盟の強化に向けて、外国為替市場の安定に向けた様々な形の実質的な協力策を、韓米の当局間で深く議論してほしい」と述べ、両国の通貨価値の安定に向けたアメリカの協力を求めました。
これに対してイエレン長官は、供給網を信頼できる国々に限定して構築する「フレンド・ショアリング」を導入すべきだとし、韓米間の供給網構築強化に向けた協力を強調しました。
イエレン長官は19日、LG化学の研究開発施設を訪問し、ロシアと中国を強く批判したうえで、同盟国の供給網構築の必要性を訴えました。
アメリカは、韓国・日本・台湾に提案した半導体同盟、いわゆる「チップ4(Chip4)」についても、韓国の参加を促しています。
アメリカが、中国とロシアをけん制するために、主な友好国と供給網同盟を構築する「フレンド・ショアリング」に韓国が参加する意思を明らかにしたことで、経済安保を通じた包括的同盟強化への動きが加速するものとみられます。