おととし海洋水産部所属の公務員の男性が、韓半島西の海、西海上で北韓軍に射殺された事件について、海洋警察は、この男性が自ら北韓に越境しようとした根拠はないとする最終捜査結果を発表しました。
仁川海洋警察署は16日、記者会見し、おととし9月21日に西海の延坪島(ヨンピョンド)付近の海上で海洋水産部所属の公務員の男性が漁業指導船に乗船中、行方不明となったあと、翌日北韓軍によって射殺された事件について、この男性が自ら越境しようとした根拠はないとする最終捜査結果を発表し、遺族に対して慰めの言葉を伝えました。
この男性について、海洋警察が捜査の中間結果として、ギャンブルによる借金などがあり、自ら北韓側に渡ろうとしたと断定していた2年前の判断を覆したことになります。
一方、当初の説明に納得しなかった遺族が情報公開を求めた裁判をめぐっても、大統領室の国家安保室は控訴を取り下げました。
国家安保室の控訴の取り下げで、情報を公開するよう命じていた1審判決は確定する見通しです。
この事件をめぐっては、遺族が、男性が自ら越境しようとしたとみられるという前政権の発表に反発し、関連資料など情報公開を求めて訴訟を起こしました。
去年11月の1審では、国家安保室が保有する資料のうち「行方不明者を北韓が発見した経緯」や「軍事境界線付近の海上で起きた行方不明事件」に関する情報を遺族が閲覧できるよう命じ、これに対して文前政権は控訴していました。
国家安保室は16日の記者会見で、「韓国国民が北韓軍に射殺されたにもかかわらず、遺族に死亡の経緯をきちんと知らせずに情報アクセスを制限した過去の不当な措置を是正する」として、控訴の取り下げを発表しました。
しかし、「控訴を取り下げても、関連情報はすでに大統領指定記録物として移管されたため、情報公開はいまのところ難しい。真相解明を含め、遺族の要求に応じて十分な措置を取ることができず遺憾だ」と述べました。