新たに発足した尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権が、就任当初から解決すべき重大な課題に注目が集まっています。
安定した国政運営のためには、最大野党「共に民主党」が過半数の170議席を占める現在のねじれ国会で、閣僚人事などをめぐって野党と交渉し、来る地方選挙で勝利し国政運営の主導権を確保することが喫緊の課題とされています。
また、新型コロナウイルスの影響で悪化した庶民経済を回復させ、不動産や雇用問題を解決することも急がれています。
まず、コロナ禍の長期化で深刻化した所得の二極化や富の不均衡を一日でも早く解消するためには、新型コロナで最も大きな被害を受けた零細自営業に対する支援が急がれます。
不動産問題と関連しても、選挙戦で公約として提示した住宅供給の拡大や不動産税の緩和に関する具体的な方策を示すことを求める声が高まっています。
さらに、最近、北韓の相次ぐ武力挑発で緊張が高まっている韓半島情勢の管理も新政権の大きな課題の1つとなっています。
このため、今月21日に開催される尹大統領就任後、初の韓米首脳会談では、北韓の核の脅威に対する両国の緊密な協力体制を確認すると同時に、北韓に対して対話や交渉のテーブルに出てくることを呼びかけるものとみられています。
元徴用工問題や慰安婦問題などが原因で過去最悪となっている韓日関係も、これ以上、放置することはできません。
北韓の核問題の解決や韓米同盟の強化のためにも韓日関係の改善は不可欠であるという点から、歴史問題をめぐる対立を解決する方策を見出すことが必要とされています。
そのほか、尹大統領は大統領選挙で過去最少の得票差(0.73ポイント)で当選したことから、国政運営に対する期待も過去の当選者らに比べ比較的低く、2つに割れた世論を統合することも重要な課題とされています。
とくに、選挙の過程で露わになった地域、世代、ジェンダー、政治的立場の溝をいかに埋めていくかが注目されています。