次期政権への移行を準備する政権引き継ぎ委員会は3日、今後5年間で、北韓の核・ミサイル脅威に対する対応能力と韓米軍事同盟の強化をはかっていく方針を示しました。
引き継ぎ委員会は3日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)次期政権が今後5年間で取り組む110の国政課題を発表し、このうち国防分野の課題として、高度化する北韓の核・ミサイルと韓国首都圏を脅かす長射程砲に対して、韓国軍の対応能力を画期的に引き上げ、実質的な対応・抑止力を備える方針を示しました。
そのため、「3軸体系」の能力を確保していくとしています。
3軸体系とは、北韓のミサイル発射の兆候を探知して先制攻撃するキルチェーン、発射されたミサイルを迎撃する韓国型ミサイル防衛システム(KAMD)、北韓から攻撃された場合に北韓指導部などに報復攻撃を行う大量反撃報復(KMPR)を指します。
また、ミサイル戦力、サイバー戦、それに宇宙作戦の効果的な運用のための戦略司令部を創設するとしています。
韓米同盟の信頼強化と韓日米安保協力拡大に向けた計画も明らかにしました。
韓米の間の「拡張抑制戦略協議体(EDSCG)」によってアメリカの戦略資産の配備に向けた協力システムを整備するほか、連隊級以上の合同野外機動訓練を再開するとしています。
また、戦時作戦統制権の韓国軍への移管については、「我が軍の核心的軍事能力と北韓の核・ミサイルへの対応能力を早期に確保し、戦時作戦統制権の移管を確実に推進する」としています。
一方、選挙期間中に公約としてかかげたTHAAD=高高度迎撃ミサイルシステムの追加配置は、国政課題に明記されませんでした。
これについて、次期政権の国家安保室第1次長に内定した金泰孝(キム・テヒョ)氏は、「THAADの追加配備については、今後の安全保障の状況を見極めながら検討する。慶尚北道(キョンサンブクト)星州(ソンジュ)に配備されているTHAADも正常に動いておらず、正常に動作させるまでには時間がかかる。こうした状況でTHAADの追加配置を計画に盛り込むのは時期尚早だと判断した」と説明しています。