文在寅(ムン・ジェイン)大統領は3日午後の閣議で、与党「共に民主党」が進めていた検察捜査権を大幅に縮小するための「検察庁法改正案」と「刑事訴訟法改正案」を議決しました。
改正案は官報に掲示されると同時に公布されます。
これで、検察捜査権の縮小のための立法措置はすべて完了し、4か月後の9月から効力を発揮することになります。
文大統領は閣議の冒頭で、「国会で成立した『検察庁法改正案』と『刑事訴訟法改正案』など検察改革のための一連の法案について、現政府の任期中に審議・議決するため、きょうの閣議は時間を調整してまで開くことになった」と明らかにしました。
通常、閣議は午前10時から開かれますが、この日は国会本会議が午前開かれることになったことから、文大統領の任期中最後の閣議は時間を午後に遅らせて開かれました。
文大統領はこの中で、「現政府は『ろうそく政府』という時代的使命をもって生まれ、権力機関の改革に向けて突き進み、これまで『高位公職者犯罪捜査処』、『検察・警察の捜査権調整』、『国家情報院の改革』など、大きな進展を成し遂げた」と評価しました。
そのうえで、「けん制と均衡、民主的統制の原則に基づいて、権力機関が本来の役割を忠実に行うことができるようにするためであり、国民の基本権を保障するためのものだ。しかしこうした努力にもかかわらず、検察捜査の政治的中立性と公正性に対する憂慮が解消されず、国民の信頼を得るにまだ不十分だという指摘があったため、国会で検察の捜査と起訴の権限を分離する法案を成立させたと思う」と述べました。
そして立法の手続きのなかで、国会議長の仲裁で与野党の合意が図られたあとに、合意が破棄されたことには残念に思う」と述べました。
国会本会議は、30日に「共に民主党」議員の圧倒的多数の賛成で検察捜査権を大幅に縮小するための「検察庁法改正案」を可決したのに続き、3日午前には「刑事訴訟法改正案」を可決しています。
これに対して、法案が憲法に違反するなどとして反対していた野党「国民の力」と検察は文大統領に対して、拒否権を行使するよう要請していました。