文在寅(ムン・ジェイン)大統領はロシアによるウクライナ侵攻から1週間となる3日午前、大統領府青瓦台で国家安全保障会議の拡大関係閣僚会議を開き、韓国の安全保障をめぐる態勢を点検しました。
会議は、「2021年から2030年までの安全保障脅威展望の報告」と題して開かれ、大国同士の戦略的競争や、新型コロナをはじめ気候変動、新興技術の浮上など複合的で新たな危機の登場が国際秩序の再編につながるとして、安全保障環境の変化への積極的な対応について議論が行われました。
会議では、これからの10年間によって、韓国の先進国としての地位が左右されるとして、未来の挑戦要素や、韓国の能力などを確認し、重点的に対応すべき事項を洗い出し、国家安全保障戦略を検討する土台を作る必要があるという意見が示されました。
まず政治面では、民主主義と権威主義の間の競争の激化、ポピュリズムの拡大や、民主主義の後退などが課題として浮上するという見通しが示されました。
青瓦台は、グローバルな民主主義の回復力の強化に向けて、国際協力を強化しなければならないという報告を受けたと説明しました。
経済面では、二酸化炭素排出規制やエネルギーの転換とともに、不安定なサプライチェーン、韓国国内のエネルギー関連インフラの脆弱性などが重点課題として挙げられました。
これを克服するため、エネルギー安全保障にもとづくエネルギー転換をより安定的に進めるほか、同盟やライバル国の排他的政策に備え、海外の鉱物資源の需給の安定化に取り組まなければならないとしました。 国家安全保障室は、AI=人工知能、宇宙産業の分野でも安全保障の脅威が高まっているとして、国家安全保障のための戦略課題として、新興中核技術の早期に察知し発掘することなどを取り上げた報告書を今月中にまとめる方針です。