ハワイを訪れている鄭義溶(チョン・ウィヨン)外交部長官は現地時間の12日、日本の林芳正外相とおよそ40分間にわたって会談しましたが、「佐渡島(さど)の金山」の世界文化遺産登録や元徴用工問題について双方が従来の主張を繰り返し、議論は平行線をたどりました。
韓日外相が対面して会談を行ったのは去年11月に林外相が就任して以来初めてです。
外交部によりますと、鄭氏は会談で、「韓日両国は共に協力していかなければならない最も近い隣国で、正しい歴史認識が未来志向的な韓日関係発展に向けた根幹」と述べました。
鄭氏は、韓日の新たな火種となっている「佐渡島の金山」の世界遺産委員会への推薦について、韓半島出身者が強制労働させられた現場だとして改めて抗議し、2015年に「明治日本の産業革命遺産」が世界文化遺産に登録された際、日本側が徴用を含む歴史の全体像を説明する施設設置を表明したことに関して、「日本が自ら約束した措置を忠実に履行すべきだ」と求めました。
これに対し、林氏は「韓国の独自の主張は受け入れられない」と抗議しました。
そのうえで、「文化遺産としての価値がユネスコに評価されるよう、冷静かつ丁寧な議論を行う」と述べ、「韓国側とも誠実に議論を行っていく」と述べました。
林氏は、元徴用工問題や慰安婦問題でも「韓国側が適切に対応する必要がある」と日本政府の主張を繰り返しました。
日本は、「佐渡島の金山」の世界文化遺産登録の推薦資料で、世界遺産への登録対象期間を「戦国時代(1467~1590年)末から江戸時代(1603~1867年)」に限定したことが分かっています。
一方、会談で、両外相は、韓半島の平和プロセスの早期再開に向けた北韓との対話の必要性や韓日・韓日米の協力の重要性を再確認し、今後も緊密に協力していくことで一致したということです。
この会談の後、アメリカのブリンケン国務長官を加えた3か国の外相会談が行われています。
ハワイで開かれた韓日・韓米日外相会談は、アメリカの主導と仲介によって実現したもので、韓日両外相は、北韓のミサイル発射への対応など安全保障をめぐっては協力強化で一致したものの、両国関係をめぐっては関係改善の糸口を見いだせず、平行線をたどった形となりました。
アメリカは、11日に打ち出した中国への対抗を軸とした外交・安全保障の指針となる「インド太平洋戦略」のなかでも、韓日関係の改善を強く求めています。