韓国と日本の外務次官による対面協議が、岸田政権発足後、初めて行われましたが、独島(トクト、日本でいう竹島)問題など両国間の懸案をめぐる対立は埋まらず、双方の溝が浮き彫りとなりました。
外交部は、崔鍾建(チェ・ジョンゴン)第1次官がアメリカ・ワシントンで現地時間の17日、日本の森健良外務事務次官と韓日外務次官会談を行ったと明らかにしました。
外交部によりますと、森次官はこの会談で、金昌龍(キム・チャンリョン)警察庁長が独島訪問したことについて、「竹島は国際法上も日本の領土だ」とする日本側の立場を表明し、これを受けて崔次官は独島に関する日本のいかなる主張も受け入れられないことを明確に伝えたということです。
日本は金警察庁長の独島訪問に抗議して、当初予定されてた韓日米3国の外務次官による共同記者会見に参加しませんでしたが、その後に開かれた韓日次官会談は予定通りに行われました。
今回の協議は、今月10日に日本の岸田新内閣が発足してから初となる韓日高官級の対面協議で、双方は韓日間の主な懸案と関心事について率直な意見を交換したということです。
崔次官は元徴用工問題や慰安婦被害者問題について韓国政府の立場と被害者とのコミュニケーションに努めていることを説明し、問題解決のために協議を加速していく必要があることを改めて強調しました。
また、日本による半導体素材の輸出管理強化や福島第一原子力発電所の汚染処理水などの問題についても韓国側の立場を伝えたということです。
一方、共同通信によりますと、森次官は慰安婦問題や元徴用工問題で韓日関係は極めて厳しい状況にあるとして「韓国側の適切な対応」を呼びかけました。
これは従来の日本政府の立場を繰り返したもので、今回の対話でも懸案をめぐる歩み寄りは見られませんでした。
ただ、今回の協議では、元徴用工被害者への賠償と関連して、日本企業の韓国内資産を現金化する措置がとられる前に外交的な協議を進める必要性が言及されたということです。
このため今後、局長級協議などが開催されるきっかけになるものと見られています。
一方、両次官は、韓日米3国の協力、新型コロナウイルスの状況下での両国国民の往来の利便性を高めるための実質的協力方策、韓半島問題などについても幅広く意見を交わし、韓日関係の発展のために外交当局間で緊密なコミュニケーションをとり続けることで合意したと、外交部は明らかにしました。
実質的な協力方策と関連して、韓国側が日本に要請している企業関係者の隔離を免除する特別入国手続き「ビジネストラック」に対する議論が今後、行われるかどうかに注目が集まっています。