メディアに対する懲罰的な損害賠償を可能にする「言論仲裁法」改正案の国会本会議への提出が見送られたことについて、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、言論の自由に関連する法律は、乱用される懸念がないよう、綿密に検討されるべきだとして、法案成立の見送りを歓迎しました。
文大統領は、「言論の自由は民主主義の柱であり、国民の知る権利と共に特別に保護されなければならない」として、関連法や制度は乱用される懸念がないよう、綿密に検討されるべきだと述べました。
その一方で、「悪意による虚偽の報道やフェイクニュースによる被害者の保護も極めて重要である。間違った報道を速やかに正し、被害者が精神的、物質的、社会的被害から完全に回復できるようにする、メディアの努力も重要である」と指摘しました。
文大統領が、「言論仲裁法」改正案について言及したのは今回が初めてです。大統領府青瓦台はこれまで、「言論仲裁法」改正案について、国会が議論すべき事案であるとして言及を控えてきました。
メディアの故意・重過失による虚偽・ねつ造報道に対し、従来の5倍にあたる損害賠償を請求できることなどを骨子とする「言論仲裁法」改正案をめぐっては、言論の自由が損なわれる恐れがあるとして、言論団体などから激しい反発が出ています。
文大統領は、言論の自由と被害者の保護は、いずれも重要であるため、今回の機会を逃さず、社会的なコミュニケーションと開かれた協議を通じて、コンセンサスが得られることを願うとしています。