韓国駐在の邢海明中国大使が、次期大統領候補の一人である尹錫悦(ユン・ソンニョル)前検察総長のアメリカのTHAAD=高高度迎撃ミサイルシステムの韓国配備に関する発言を批判したことについて、中国駐在韓国大使館の高位関係者は、慎重な立場の表明を呼びかけました。
中国駐在韓国大使館の高位関係者は19日、北京で開かれた定例のブリーフィングで、邢大使の発言について「駐在国の政治家の発言に対して、在外公館が立場を表明するのは両国関係に影響を与えかねないため慎重にすべきだ」と述べました。
この関係者はまた「韓米同盟は誰も否定しておらず、THAAD配備に対する韓国政府の立場にも変化はない」と付け加えました。
問題の尹前総長の発言は、15日付けの中央日報とのインタビューで「中国がTHAAD配備撤回を主張するためには、中国が国境付近に配置した長距離レーダーをまず撤収するべきだ」と主張しました。
これについて邢大使は16日、中央日報に寄稿し「中国のレーダーは韓国の脅威にならず、THAAD配備は中国の安全保障上の利益と両国の戦略的信頼関係を損なった」と述べ、尹前総長の主張に反ばくしました。
これを受けて外交部は17日、邢大使の発言は、中国が韓国の次期大統領選挙に介入しようとしているのではないかという疑念を招きかねないとして、邢大使に対して慎重な対応を呼びかけました。
韓国政府は、THAADは北韓の核やミサイルの脅威に対応するものであり、第3国に向けたものではなく、中国の安全保障上の利益を損なうことはないとする立場を堅持しています。