先週の韓米首脳会談で、韓国政府が台湾問題など中国にとって敏感な問題をめぐってアメリカの立場を一定部分受け入れたことについて中国が反発しているため、今後の韓中関係にどんな影響を与えるか注目が集まっています。
文在寅(ムン・ジェイン)大統領とバイデン大統領による韓米首脳会談は現地時間の21日、アメリカ・ワシントンで開かれ、会談後の共同声明では「(両首脳は)台湾海峡における平和と安定の重要性を強調した」という文言が盛り込まれました。韓米両国が中国と台湾の関係いわゆる「両岸問題」を公式文書で言及したのは今回が初めてです。
これを受けて中国外務省の報道官は24日、韓米両国が台湾や南シナ海をめぐる問題を共同声明に盛り込んだことを「内政干渉」だと批判し、「共同声明の内容に憂慮を表明する」と述べました。
ただ、中国の反発はある程度、予想されていたうえ、4月の日米首脳会談当時よりは中国の批判の程度も弱く、韓中関係に与える影響は限定的だとする見方も少なくありません。
韓米共同声明では、中国という国名を一度も使わず、中国を名指しはしていないため、中国もこれを踏まえて批判のレベルを抑えているとみられています。
また、政府関係者によりますと、韓国政府は韓米首脳会談の結果について中国側とコミュニケーションをとるなど、韓中関係に与える否定的な影響を最小限にするために取り組んでいるということです。
大統領青瓦台の高位関係者は24日、記者団に対して「中国側も韓国が置かれた立場を理解する態度を見せている」と語っています。
また、外交分野の専門家の間では、韓国に対する過度な批判は韓国国民の間の中国に対する反感を煽り、韓国の世論がさらにアメリカ側に近づくきっかけとなりかねないため、過去のTHAAD=高高度迎撃ミサイルシステムの韓国配備に対する報復措置「限韓令」のような強力な措置をとるのは難しいだろうという見方が出ています。