最高裁に当たる韓国大法院が、日本製鉄(旧新日鉄住金)対して日本の植民地時代に徴用された労働者への損害賠償を命じた判決をめぐって、裁判所が、ことし1月に、韓国にある日本製鉄の差し押さえ資産の現金化に向け鑑定を行ったことがわかりました。
大邱(テグ)地方裁判所の浦項(ポハン)支部は、大法院の判決に従って差し押さえられた日本製鉄の韓国内資産である、リサイクル会社「PNR」の株式の売却命令を出すのを前に、ことし1月に鑑定人に資産の評価を依頼し、1月15日付で、鑑定人から鑑定書が提出されました。
鑑定書の提出により、売却対象の株式に対する鑑定手続きが最終段階に差し掛かったとみられますが、株式の売却命令を出す時期は、まだ決まっていないということです。
大邱地裁に鑑定書が提出されたことを受け、日本製鉄は、ことし2月と3月の2回にわたって意見書を提出したということですが、意見書の内容は公開されていません。
大法院は2018年、日本製鉄に対し、日本の植民地時代に徴用された労働者へ損害賠償するよう命じる判断を言い渡しました。
日本製鉄が賠償判決を履行しなかったことから、大邱地裁浦項支部は2019年1月、日本製鉄の韓国資産である「PNR」の株式の差し押さえを承認しました。
その後去年6月に、日本製鉄に差し押さえの決定を伝えたとみなす公示送達の手続きを取り、その年の8月に効力が発生しました。
これについて、日本製鉄は、「即時抗告」を申し立て、手続きの差し止めを求めており、大邱地裁民事抗告部がこの案件を審理しています。