法務部から停職2か月の懲戒処分を受けた、尹錫悦(ユン・ソクヨル)検察総長が停職処分の執行停止を訴えていた問題で、ソウル行政裁判所が尹総長の訴えを認める決定をくだしました。
尹検察総長をめぐっては、秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官が11月、職務上の義務違反など不正疑惑を確認したとして、懲戒を請求し、法務部懲戒委員会が今月16日、停職2か月の懲戒処分を議決し、文大統領がこれを承認していました。
これに対して尹総長は翌17日、「不法で不当な措置だ」と反発し、懲戒処分の取り消しを求める訴訟を起こしたほか、訴訟の結論が出るまでの懲戒処分の執行停止をソウル行政裁判所に申し立てていました。
この申し立てについての審理が24日、行われ、尹検察総長側は、処分は「検察の政治的中立性と独立性を損なう」と改めて主張し、法務部長官側は、尹総長の職務継続は「検察の公正性を脅かす」と強調しました。
これについて裁判所は「法務部が主張している尹総長に対する懲戒の事由の多くは証明が難しく、争いの余地がある」などとして、尹総長の訴えを認め、懲戒処分の効力を停止する判断をくだしました。
今回の裁判所の判断は、権限縮小をはかる検察改革をめぐって文在寅(ムン・ジェイン)政権に抵抗してきた尹総長に文大統領が承認した処分を、事実上覆した形となりました。
処分決定から1週間あまりで復帰が決まった尹総長は、大統領府や与党関係者が絡む疑惑の捜査を一層加速させる見通しです。
尹総長は、「憲法の精神と法治主義、そして常識を守るために最善を尽くす」というコメントを出しました。
尹総長の職務復帰が決まったことについて、文在寅(ムン・ジェイン)大統領は25日、「裁判所の決定を尊重する。結果的に国民に不便と混乱をもたらしたことについて、人事権者としてお詫び申し上げる」と述べました。