韓国政府が購入契約を結んだ、イギリスの製薬会社アストラゼネカ製の新型コロナウイルス・ワクチンは、来年半ばにFDA=アメリカ食品医薬品局の承認を受ける見通しで、韓国への導入も遅れることになりそうです。
ロイター通信によりますと、アストラゼネカでワクチンの研究開発を統括する研究所長は9日、アメリカNBCニュースに対し「FDAの臨床試験が終了するのを待つとなると、アメリカでワクチンを入手できるようになるのは来年の半ばになるだろう」と述べました。
ニューヨークタイムズによりますと、ファイザーやモデルナが最終承認を残すだけとなっているのに対し、アストラゼネカはアメリカでの第3段階の臨床試験もまだ終わっていません。
アストラゼネカは、臨床試験の参加者をFDAが基準とする3万人の半分程度しか集められておらず、このため第3段階に最も早く進んだにも関わらず、承認を受けるのは最も遅くなる可能性が高くなっています。
アメリカでアストラゼネカのワクチンの承認が遅れていることから、韓国政府のワクチン導入計画にも支障をきたすだろうとの見方が強まっています。
韓国政府は8日、来年2月にも4400万人分のワクチンを確保して、国内に段階的に導入する計画だとして、アストラゼネカと1000万人分の購入契約をあらかじめ締結し、真っ先に導入する計画だと明らかにしました。
中央事故収拾本部の尹泰皓(ユン・テホ)防疫総括班長は10日の記者会見で、「FDAの承認が公式に延期されたのか、懸念される程度なのか、事実関係の確認がまだとれていない」として、「対応策を論ずるのは時期尚早だと思われる」と述べました。
一方、トランプ大統領が新型コロナウイルスのワクチンを自国民に優先して接種させる内容の行政命令に署名したことについて、韓国政府は、アストラゼネカのワクチンは韓国国内で生産するため、影響は比較的少ないだろうとの見通しを示しました。