韓米合同軍事演習が18日から規模を縮小して行われることになりましたが、戦時作戦統制権の移管に向けた新たな軍司令部の運用能力の検証は事実上、できなくなりました。
合同参謀本部によりますと、新型コロナウイルスの感染状況などを考慮して、韓米は連合指揮所訓練を18日から10日間、実施するということです。
また合同軍事演習は、戦時作戦統制権の移管に向けた準備ではなく、連合防衛態勢の維持に重点を置くという点も明確にしました。
新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐだめ、アメリカ軍兵士の入国が制限され、規模が縮小されたため、韓国軍が今回の演習で目標としていた、戦時作戦統制権の移管時に韓米連合軍司令部に代わる新たな軍司令部となる「未来連合司令部」の完全運用能力=FOCの検証は、予行演習だけを一部行うということです。
このため、来年に予定されている「未来連合司令部」の完全任務遂行能力=FMCの検証もずれ込むため、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の任期内となる2022年5月までの戦時作戦統制権の移管は事実上難しいという見方が出ています。
アメリカが合同軍事演習に消極的な理由はほかにもあります。
韓国政府も北韓の反発を意識して演習の規模の縮小を望んでいますが、米中対立が深まるなかで、中国をけん制するアメリカも、軍事作戦統制権の移管に躊躇しているという見方があります。
このため、検証が終わっても、連合防衛を主導するための韓国の軍事的能力や北韓の核やミサイルへの対応能力などを理由に挙げ、アメリカ軍が移管を遅らせる可能性があり、移管が短期間に実現するのは難しいという指摘が出ています。