新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、韓国政府は、入国前の14日間に、中国武漢を含む湖北省に滞在したことのある外国人については、4日から入国を拒否する措置を取りましたが、回復しつつあった韓中関係に悪影響を及ぼすのではないかという懸念の声が上がっています。
韓国政府の入国拒否は、世界各国の動向や国民の不安、感染拡大の防止を考慮すると、やむを得ない措置とされます。
中国全体ではなく、湖北省に限ったことや、措置を発表するまでに政府が慎重に検討してきたことなどから、韓国政府が韓中関係を考えて、苦心したことがわかります。
しかし、今回の措置が最近、友好的なムードに変わっている韓中関係に悪影響を及ぼすのではないかという懸念の声が出ています。
アメリカの高高度迎撃ミサイルシステム「サード(THAAD)」の韓国配備に対する報復措置として、中国政府が2017年に、韓国への団体旅行を禁止したことで、中国人観光客の数は半分にまで減少しました。
しかしここに来て 団体旅行の禁止措置も一部解除されるなど、中国人観光客の数もほぼ回復し、韓中関係は改善が目立っていました。
こうした懸念に対して、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官は2日に行われた中央対策本部の拡大会議で、政府が中国からの入国拒否の措置を取ったことについて、「中国政府と緊密に疎通しているため、外交摩擦につながることはない」と強調しました。
そして、中国との外交日程については、予定通り進める方針であることを明らかにし、ことし上半期に予定されている習近平国家主席の韓国訪問に向けた準備も引き続き行っていくことを示唆しました。