国会は30日の本会議で、政治家や政府高官らの不正を捜査する新たな機関「高位公職者犯罪捜査処」を開設する、いわゆる「検察改革法案」を、最大野党「自由韓国党」を除く与野党の賛成多数で可決しました。
この法律は、政治家や政府高官らの不正を捜査する新たな機関「高位公職者犯罪捜査処」を設置し、強大な権力を持つ検察から高官らの捜査権限をこの独立した機関に移すことが柱となっています。
この機関の捜査対象となるのは大統領、首相など政府の高官、国会議員、検事らで、本人だけでなく、その配偶者と直系尊卑属まで広範囲に及びます。
韓国では、検察が強大な力を持っている上、政治家や政府高官らの捜査が透明性を欠いているという批判が多かったため、この新たな機関の設置によって、検察をけん制できる実質的な制度的装置が設けられたという点で評価されています。
与党内では、検察の恣意的(しいてき)捜査に対する不信感が強く、検察改革は、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の公約の目玉となっていたため、来年春の総選挙前に政策実行力をアピールする形となりました。
この法案が可決されたことで、来年夏には「高位公職者犯罪捜査処」が開設される見通しです。
ただ、この機関のトップは、大統領が任命するため、政権の意向が反映される恐れがあり、検察より強い権力を持つ捜査機関が登場するという指摘も出ていることから、こうした問題点を補う対策が欠かせないという声もあがっています。