韓国南部の慶尚北道(キョンサンブクト)星州(ソンジュ)郡にあるアメリカ軍の高高度迎撃ミサイルシステム「サード(THAAD)」基地について、韓国政府が年内にも環境アセスメントを行い、正式配備を最終決定するとみられていましたが、いまだに手続きを開始していないことがわかりました。
現在、星州にはサードが臨時配備され、作戦運用中ですが、政府は正常手続きである一般環境アセスメントの結果を踏まえて、サードの正式な配備を最終決定する方針です。
政府が一般環境アセスメントの手続きを始められなかったのは、アメリカ側のサード基地に関する事業計画書の提出が遅れ、事業計画書に関する両国の検討や協議が遅れたためとされています。
政府は、アメリカ軍がおととし3月に発射台2基とレーダーを星州に臨時で配備した際、略式の環境アセスメントを行っていましたが、この略式の環境アセスメントは、住民の立会や公聴会など意見収集のための手続きが省かれていたため、住民の不満や論争が続きました。
このため国防部は、文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後のおととし7月に、大統領府青瓦台の指示を受けて、一般環境アセスメントを正式に実施する方針を公式に決めました。
一部では、北韓との非核化交渉の進展のためには、中国の側面からの支援が必要な状況であり、サード配備をめぐって韓中関係を悪化させてはならないという判断から、サード配備に関する最終的な決定をせずに、いまのまま臨時配備の状態で運用し続けるという見方も出ています。